
日本の食道がん治療に、今まさに大きな転換期が訪れようとしています。2026年5月21日、厚生労働省の専門家部会は、岡山大学が開発した新しいがん治療用ウイルス製剤「テロメライシン(一般名:サラタデノトレブ、開発コード:OBP-301)」の製造販売承認を了承しました。
対象となるのは、「根治切除(手術)または標準的な化学放射線療法が適応とならない食道がん」です。今後、正式に承認されれば、2026年内にも実用化される見通しです。
テロメライシンが従来の治療と一線を画し、大きな期待を集めている理由は、これが単なる抗がん剤(化学療法)ではなく、「がん細胞を狙い撃ちするように遺伝子を改変したウイルス」であるためです。
テロメライシン(OBP-301/サラタデノトレブ)は、「遺伝子組換えアデノウイルス5型」です。
アデノウイルスとは? 小さなお子様がいるご家庭では、小児科などで耳にしたことがあるかもしれません。一般的には風邪や咽頭炎(プール熱など)を引き起こす身近なウイルスです。
しかし、テロメライシンではこのウイルスに遺伝子操作を施し、体内で無差別に増殖するのではなく、「がん細胞の中だけで特異的に増殖する」ように改変されています。岡山大学の研究グループは、一般的なウイルスを「標的型の生物兵器」へと変貌させ、腫瘍内に注入することで、がん細胞の内部で自己増殖させて細胞を破壊(溶破)させる仕組みを構築しました。
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