
日本に住むベトナム人の方々にとって、年に一度の帰省は楽しみな行事です。しかし、帰省中に予期せぬ病気やケガ、入院を余儀なくされた際、「日本の保険は使えるのだろうか?」と不安に思う方も少なくありません。
実は、日本の公的医療保険には「海外療養費制度」という仕組みがあります。これを利用すれば、短期間の海外滞在中に治療を受けた場合でも、一定の条件を満たせば日本で支払った費用の一部(還付金)を受け取ることができます。
海外療養費制度とは、健康保険の被保険者が海外旅行や一時帰省中に、やむを得ない事情で現地の医療機関を受診した際、帰国後に申請することで費用の一部が払い戻される制度です。
原則として、「日本国内で同様の治療を受けた場合の標準的な費用」を基準に、その7割(自己負担3割の場合)が払い戻されます。
以下のすべての条件を満たす必要があります。
支給額は「実際に海外で支払った金額」ではなく、「日本で同様の治療を受けた場合の費用」に基づいて計算されます。
【具体例】
※海外の医療費が高額な場合、日本の基準を上回る分は自己負担になる点に注意が必要です。
申請には以下の書類が必要です(社会保険の場合は加入している健康保険組合へ確認してください)。
海外の病院で発行された明細書や領収書は、必ず日本語に翻訳する必要があります。翻訳文には、翻訳者の氏名、住所、連絡先、署名が必須です。
医療用語の専門的な翻訳が必要になるため、ご自身での翻訳が難しい場合は、医療通訳・翻訳サポートアプリ「HICO」などの専門サービスの利用を検討することをお勧めします。
現在、海外療養費の申請はマイナンバーカードを用いたオンライン申請(マイナポータル等)には対応していない自治体が多いです。原則として、窓口または郵送での書類提出(紙ベース)が必要となります。 ※今後の運用変更については、各自治体や保険組合の最新情報を確認してください。
帰省中に万が一のことがあっても、この制度を知っていれば安心です。必要書類を持ち帰ることを忘れないようにしましょう。
【参考・相談窓口】
執筆者: 外資系金融機関勤務・元行政書士試験合格者(日本育ちのベトナム人) 保険や行政手続きの知識をわかりやすく発信しています。