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海外で病気になったらどうすればいいですか.

海外で病気になったらどうすればいいですか.

clock2026/05/11

日本の健康保険で払い戻しが受けられる「海外療養費制度」とは?

日本に住むベトナム人の方々にとって、年に一度の帰省は楽しみな行事です。しかし、帰省中に予期せぬ病気やケガ、入院を余儀なくされた際、「日本の保険は使えるのだろうか?」と不安に思う方も少なくありません。

実は、日本の公的医療保険には「海外療養費制度」という仕組みがあります。これを利用すれば、短期間の海外滞在中に治療を受けた場合でも、一定の条件を満たせば日本で支払った費用の一部(還付金)を受け取ることができます。


1. 海外療養費制度の概要

海外療養費制度とは、健康保険の被保険者が海外旅行や一時帰省中に、やむを得ない事情で現地の医療機関を受診した際、帰国後に申請することで費用の一部が払い戻される制度です。

原則として、「日本国内で同様の治療を受けた場合の標準的な費用」を基準に、その7割(自己負担3割の場合)が払い戻されます。

2. 支給の対象となる条件

以下のすべての条件を満たす必要があります。

  • 日本の公적医療保険(国民健康保険または社会保険)に加入していること。
  • 海外での治療が「治療目的」であり、緊急性が認められること。
  • その治療内容が、日本の保険診療として認められているものであること。
  • 帰国後、2年以内に必要書類を添えて申請すること。

3. 適用されるケース・適用されないケース

✅ 適用される例

  • 帰省中に急な発熱や腹痛などで現地病院を受診した。
  • 滞在中の事故によるケガで応急処置や手術を受けた。
  • 妊娠中の緊急入院や、医学的な必要性による帝王切開。

❌ 適用されない例

  • 美容整形や、健康診断・人間ドック。
  • 治療目的ではない検査。
  • 日本で保険適用外となっている治療(自由診療、伝統療法、漢方薬など)。
  • 自然分娩(通常の出産): 原則として対象外です。ただし、帝王切開などの医学的処置が必要な場合は対象となる可能性があります。

4. 支給額の計算方法(目安)

支給額は「実際に海外で支払った金額」ではなく、「日本で同様の治療を受けた場合の費用」に基づいて計算されます。

【具体例】

  • ベトナムでの手術・入院費用(実費):150,000円
  • 日本で同じ治療を受けた場合の算出費用:50,000円
  • 支給額:50,000円 × 70% = 35,000円 (差額の115,000円は自己負担となります)

※海外の医療費が高額な場合、日本の基準を上回る分は自己負担になる点に注意が必要です。

5. 必要書類(国民健康保険の場合)

申請には以下の書類が必要です(社会保険の場合は加入している健康保険組合へ確認してください)。

  1. 海外療養費支給申請書(役所の窓口にあります)
  2. 診療内容明細書 (Form A)(医師に記入してもらうもの)
  3. 領収明細書 (Form B)(支払い内訳がわかるもの)
  4. 日本語の翻訳文(すべての書類に翻訳が必要です)
  5. 保険証・本人確認書類(パスポート等)
  6. 渡航期間が確認できる書類(航空券の控え、パスポートの入国スタンプ等)

6. 申請方法と期限

  • 提出先:
    • 社会保険の方: 勤務先の担当部署、または協会けんぽ・健康保険組合。
    • 国民健康保険の方: お住まいの市区町村役場の保険年金課窓口。
  • 期限: 治療費を支払った日の翌日から2年以内(期限を過ぎると時効となり、受取不可となります)。

7. 翻訳と通訳についての注意点

海外の病院で発行された明細書や領収書は、必ず日本語に翻訳する必要があります。翻訳文には、翻訳者の氏名、住所、連絡先、署名が必須です。

医療用語の専門的な翻訳が必要になるため、ご自身での翻訳が難しい場合は、医療通訳・翻訳サポートアプリ「HICO」などの専門サービスの利用を検討することをお勧めします。

8. マイナンバーカードとの関係

現在、海外療養費の申請はマイナンバーカードを用いたオンライン申請(マイナポータル等)には対応していない自治体が多いです。原則として、窓口または郵送での書類提出(紙ベース)が必要となります。 ※今後の運用変更については、各自治体や保険組合の最新情報を確認してください。

まとめ

  • 対象者: 日本の健康保険証を持つすべての人(外国籍の方を含む)。
  • 対象治療: 緊急性のある治療。美容・健康診断は不可。
  • 支給額: 日本の基準額の約7割。
  • 重要: 帰国後2年以内に申請が必要。正確な日本語訳が必須。

帰省中に万が一のことがあっても、この制度を知っていれば安心です。必要書類を持ち帰ることを忘れないようにしましょう。

【参考・相談窓口】

  • 全国健康保険協会(協会けんぽ): 海外で急な病気にかかったとき
  • 各市区町村の国保窓口: お住まいの地域の役所へお問い合わせください。
  • ベトナム語での相談・翻訳サポート: 医療通訳アプリ「HICO」

執筆者: 外資系金融機関勤務・元行政書士試験合格者(日本育ちのベトナム人) 保険や行政手続きの知識をわかりやすく発信しています。

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